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もみじ亭のコンセプトを打ち出し、
全体のありかたをまとめあげたのが、
プロデューサー役の竹本正夫さんである。

(写真上 / 修復中のもみじ亭。こだわりは古民家への愛着から)
もみじ亭そのものはこだわりを持った建物だが、
あくまで祖谷そばを気取らずいただける空間づくりに徹している
と竹本さんはいう。
ひとことでいえば、
水戸黄門で出てくるそば屋のイメージだそうだ。
江戸時代の庶民的な雰囲気を再現したということだろう。
プラスチックは極力使わず、
木をたくさん使うことで居心地のいい店にしたい。
屋根の微妙な曲線に求めたのは、
やさしさと親しみやすさ。そして「なごみ」である。
古民家といえば茅葺き屋根を連想するが、
もみじ亭はトタン葺き屋根である。
これについて、竹本さんに聞いてみた。
「茅葺きを維持するには囲炉裏(いろり)が欠かせません。
ススでいぶされることでカヤを維持することができます。
また、十年に一度ぐらいは葺き替え(ふきかえ)が必要ですが、
それには相当の費用がかかります。
祖谷そばは気取った食べ物ではなく、
祖谷地方のくらしのなかで茶漬けのように気やすく食べられてきました。
ですから建物の価格をそばに転嫁するわけにはいきません。
そういう理由でやむをえずトタンにしたのですが、
一文字葺きという手法を取り入れています」。
◇天然鮎を食べさせる
もみじ亭の隠れた逸品は、吉野川の天然アユの塩焼きだ。
えっ、天然物? 高いんじゃないと思うけれど、600円前後。
実は、地元のアマチュア釣り師から買い付けている。
もみじ亭専属釣り師とは、井川直樹さん。
井川さんのテリトリーは、
大歩危小歩危から少し下流の吉野川の激流が洗う鮎戸の瀬(あどのせと読む。釣り師で鮎戸の瀬を知らぬ人はいない)、
そして支流銅山川との合流点、川口の浜である。
職業釣り師ではないが、日々出現し、もみじ亭に納入する。
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