プロローグ〜二百年前の祖谷の古民家がそば屋に生まれ変わる

今から八〇〇年以上も昔、
屋島の源平合戦で敗れた平の国盛は
一族郎党を引き連れて祖谷に潜入し、
再起を促したものの願い叶わず落武者として住みついた。
以来、祖谷は平家の落人の住んだ地域とされている。
有名なかずら橋などは、追っ手を振り切るために工夫された仕掛けなのだろう。


秘境といわれた祖谷地方も、
高度経済成長の開発の波に巻き込まれ、
しだいにその姿を消していった。
祖谷の菅追にあった西家住宅は築二百年。
その古民家を多くの人に見てもらおうと大歩危に移築したのが、もみじ亭である。

もみじ亭には、
多くの人々の思い入れが雪のように降り積もっている。
この家屋が建てられて二百年、
祖谷地方のとある家族の営みを宿した時代に思いをはせながら大歩危に移築し、
祖谷の民族資料館として親しまれた。昭和40年代である。

さらに数十年、この古民家は紆余曲折を経て平成17年4月、
大歩危を眼下に祖谷そばを食べさせるもみじ亭として生まれ変わった。

                   

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